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機械の導入はどんどん進み、ストライク、ボールの判定にも及ぶことになるだろう

リクエスト制度が導入されたということは審判は間違えることを認めたということだ。

人間の一瞬の判断に責任を負わせている限り誤審はなくならない。

1人の判定に任せても間違いが起きることを万人が認めているから導入されたわけだ。

 

これは、審判個人の責任や審判個人の技量の問題ではなく、人間の能力の限界であるから

仕組みの問題なのだ。

人間だから必ず間違える。

どんなに修練、鍛錬をして熟達しようと間違える。見間違えるとも言える。

 

昔の野球では審判へ体当たりしたり、激しく抗議したり、というシーンを目にした。

選手とともに監督がその判定で審判を貶めるような態度は間違っている。

審判は、正確な判定をして当たり前という仕組みになっているので、多勢に無勢、一気に非を受ける。

そして、野球ファンもそこへ加勢していくことになる。

 

栗山は判定に納得行かないときは文句を言うのではなく、説明を求めるかのように審判へ近づく。

納得いかない、ファンにこのまま続けることを見せられない、というかのよう。この態度が正しい。

「バカ」だの、「下手」だの、言ったところで、間違いが起こることは始まる前から

わかっていることなのだから、そこは仕組みを変えなければいけなかったのだ。

何十年と繰り返してきた。

今も、全てが払拭されたわけではない。

 

高校野球では、判定の間違いだらけでも抗議が許されない。

そして、幅を持った判定をきっと高野連が進言している。

そうでなければ、あれだけ広いストライクゾーンの理由が分からないし、1試合の中だけでも

数ある判定違いに説明がつかない。

 

そもそも高校野球は高校生の野球の勝負や技術の進展を目的としていない。

高校生の部活動のひとつであり、教育の一環なので、最高パフォーマンスの発揮より、

規律に沿った行動を求め、そして、人間形成、教育を建前としている。

そこへ野球を利用しているにすぎない。

したがい、そもそも正確な判定にすることが改善ではないということになる。

高校野球は正確な判定などというものより、また勝ち負けを正確にすることより、

これまでの慣習にしたがった高校生の精神の成長を主眼としている。

野球技術の向上を阻害し、プロを目指す選手の邪魔となっても、そちらが大事なのだ。

その建前通りになっているかは別の話だが。

 

リプレー検証が導入されるにあたり、議論の中に審判の権威を棄損するなどという懸念をしていたが、

現実となった今、そんなことを言っている人はいなく、杞憂に終わった。

というより、その時点でもそんなことにこだわる人が出てくるなどいないことはわかっていた。

機械に頼ることで、味気なくなるということも言われた。

リクエストが導入されて以降、味気などという声は聞かないように思う。

もとより判定に味気などいらない。

 

テクノロジーに頼ると、皆が納得し出したので、それまで何十年も騒いできた権威だの、威厳だの、

抗議だの、提訴だのが一気に沈静した。

威厳だのと持ち出していた審判側や主宰側ももめ事が減り、責任が軽減されて、ホッとしていることだろう。

 

システム化できるならば極力システム化し、審判の存在を消す事の方を多くの人が選んだということだろう。

システム化とは機械化というより、ミスが起きない仕組みということで、

審判の存在を消すとは人間によるなというわけではなく、1人の判断に頼るな、

1人の責任にするなということ。

これによると、これからも機械の導入はどんどん進み、ストライク、ボールの判定にも

及ぶことになるだろう。

 

判定においては大事なってくるのは納得なのだ。

例えばコリジョンルールができて以来ブロックという行為は禁止され、

際どいタイミングのプレーは以前より走者有利に転じた。

もともとは、塁上での危険なプレーを回避するために設けられたものなのだから、

タイミング完全にアウトで、ケガの危険がないであろう体を寄せてのタッチは、

適用せずとも良いと思われるのだが、手だけでタッチに行かないと全てが、このルールに阻まれる。

ここは納得が浸透していない。

 

または、2009年のWBC決勝で同点ホームランを喫した後、レフト線の当たりに

内川がスライディングキャッチし、2塁で刺したプレーは、スローで見ると2塁へ

ヘッドスライディングする走者の手が先にベースに触れているようにも見える。

しかし、このプレーは岩村が捕球後、グラブを置きに行き、優しくタッチに行ったからで、

タイミングが完全にアウトのためアウトとしていいのだ。

これらが、判定は納得を大事にするという例。

 

この納得をリプレー映像での確認という方法をプロは選択したわけだ。

これによる方法にほとんどの人が納得をしている。

機械によるものだけでなく、副審制によりプロの多くの目により、落ち着いて出した判定も

納得いくものと思われる。

 

現在は、映像による確認が事実を映し出されていることに疑いを挟む人はおらず、

冷静に落ち着いて振り返ることで敵も味方もファンも抗議している人も全ての人が納得している。

したがいテクノロジーの導入がこれからも進むはずだ。

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