イチローにはそのストイックさが認知されており、努力の量が知れ渡っているので
天才だけでなく、努力の人とも表現される。
幼少の頃より練習を重ねた上で獲得したプレースタイルだし、続けてきたからこそ
閃いたテクニックだった。
しかし、周りの人間にはどうしてそこに到達できたのかわからないし、
世に出てきたと思ったら、いきなり日本新記録の上、1人で何でもやってしまうので
天才にしか見えなかった。
本人にとっては積み重ねだから何ら不思議はないし、
自分はそうして生きてきたから見えている世界に不思議はない。
そのイチローがMLBで1年目から首位打者、そして10年連続200安打、最終的には
通算安打世界記録。
MLBの日本人初野手が日本プロ野球70年の結晶であり、最高傑作だったのは
日本の野球ファンにとって幸運であり、熱狂の条件がそろった。
いきなり初っ端が最高峰で、これ以上がいないという選手が世界へ出て行ったという奇跡。
MLBで通用する日本人野手が待望されていたのに、いきなり首位打者だ。
いつか日本人が世界で首位打者でもなったらすごいことだろうな、と夢見ていた
古くからの野球ファンに、いきなり最初の選手が夢を実現してしまった。
その夢はいつか空を飛べないかな、とか幼少の頃誰もが妄想していたことと
同じレベルの遥かなる夢だった。
これだけ揃えばやっぱり天から恵まれた才能にしか見えない。
一方で不運でもある。
物心ついた時からイチローを知っている世代、あるいはイチロー出現から野球を注目し出した
人達には、それが奇跡や不思議だと思わず、感動が少ないだろうから。
こんな選手は突然変異であり、奇跡と言えるのだということ。
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