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実力がある選手ほど行きたいチームに行きづらいプロの制度

今週はドラフトが行われたので、それについて連続して記してきた。

2020-10-26 ドラフト2020

2020-10-27 大学4年間で高卒プロ組を追い越すか ドラフト2020

2020-10-29 野球を超越したドラマ ドラフト

近年のドラフトの事件を連ねよう。

 

大卒ドラフト時点で巨人を切望していた菅野は、交渉権獲得まで誠意を感じさせなかった

日ハムを拒否し、1浪した。

プロの殿様気取りが一人の若者の可能性を狭めたと言っていい。

ドラフトとはそういう制度なのだ。

ただ、日本ハムが強行指名することも問題ない。事前に菅野側が巨人以外のチームに

指名しないでと言っていたから指名しないのでは、ドラフト制度自体の存在意義がない。

一方で、誠意が感じられなかった日ハムを菅野側が拒否することも何ら問題ない。

人生の大事な決断をプロが勝手に作ったドラフトとくじに左右されてたまるものか。

菅野の身内には人権蹂躙とまで言っていた人もいるくらいだった。

翌年、日ハムは一転「1年間のブランクがあることを考えたら、一番力のある投手じゃない」という捨てゼリフで菅野をこきおろした。

 

日ハムは大谷指名の際は、栗山をうまく使い、誠意をみせていた。

江川や元木や福留も人生を遠回りさせた。

実力がある選手ほど、行きたいチームに引いてもらえる確率が減り、

その実力をファンに提供できなくなるという側面をドラフトはもつ。

野球界にとってもファンにとっても本来、不幸なことだ。

 

江川の時は巨人一徹を貫かなきゃいけないところに追い込まれた感がある。

あれほどの怪物でなく、あれほどの騒ぎでなければ、どこかで妥協して他の球団に入っただろう。

周囲が大騒ぎするから、意地になったのだ。

それで高卒で阪急を断り、大卒でクラウンを断り、浪人で阪神を断り、野球に集中するための環境はベストには働かなかっただろう。

高校時代が一番すごかったとはよく聞く話だ。

実力豊かな若者を救うに苦悩して編み出したのが巨人のウルトラCだったとも見られる。

ドラフトという矛盾に満ちた制度に対してなら、その虚をついた巨人の行動だって卑怯や狡猾とは言い切れない。

江川の才能を守ってやるためには、それくらいやっても良かったとも言える。

責められるべきは江川でも、巨人でもなく、むしろこの制度を善とした連盟とマスコミだし、

それを受け入れた観ている者達だし、企業努力をしなかった他の球団だという見方ができる。

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