日本シリーズで余裕の戦いをしたソフトバンクの中でも4戦目に先発した和田には、チームの余裕とは
裏腹に、1人の選手としてカッコイイパフォーマンスをしたい、ということを記した。
2020-11-26 日本シリーズ第4戦 ソフトバンクは昨年から8連勝巨人と名乗る相手を子ども扱い 8試合も相手してもらえてええの~
チームとしては点を獲られても余裕だが、和田は余裕ではない。
チーム事情を鑑みて余裕のピッチングをしてもいいのだが、ここは来季以降へのアピールの場でもある。
巨人も大江や若林、その他、坂本と岡本あたり以外は一選手としてのアピールの場となり、
日本一がどうとか言う状況ではなくなった。
これと同じように感じたシーンが、ロッテ・岡田が放った三塁打だった。
2010年の日本シリーズ第7戦で日本一を呼び込む三塁打を放った。
三塁ベース上で万感のガッツポーズをしたのだが、もちろん日本一が近づくタイムリーにガッツポーズをした、
ということもあるが、同時に、自分の評価もこれで上がり、来年も野球ができる、というものに見えた。
岡田は育成で入団した選手で、入団時にすでに家庭を持っており、どうしてもプロで勝負したい、
2年でだめだったら、きっぱり野球をあきらめ就職するから、と家族の反対を押し切り単身赴任で入団した。
当然、育成枠なので薄給だ。すでに子供がいた岡田にとっては人生の大きな決断だっただろう。
三塁へ滑り込んだ岡田は立ち上がると顔を上げないまま万感のガッツポーズをした。
これも、ファンに向けてや、高く拳をつきあげるというものではなく、下に叩きつけるようなものだった。
この時、笑顔は一瞬だけでチームは大騒ぎしている中、三塁ベース上の岡田には笑顔が消えていた。
だから「よし打ったぞ」や「これでリードした」や「これで勝てる」というものではなく、
「これでまた契約してもらえる。まだ野球選手でいられる。」という方が強く見えた。
岡田の身の程はこの年、一軍登録され、レギュラークラスではなく、結果を示すことが出来なければ
いつ二軍行きを告げられるか、二軍に行けば、いつ首を切られるかわからないというものだった。
この三塁打も足を生かす岡田にしては、高いフライだった。
したがい、意図したバッティングではなかったように思われる。
しかし、延長のスコアリングポジションということで外野が前に出ていた。
前に出てきていなければ外野フライだったかもしれない。
外野フライだったら岡田の現役生活は10年に及ばなかったかもしないと思える程、大きなプレーだったと思われる。
チームの勝利以上に自分がこの世界に生き残るためのプレーを選択し、
それがうまく行くと自分の評価を気にする。それは仕方がない。
実力者が揃い、毎年新戦力が入り、必ず何十人も首を切られることが決まっている世界で、
職業としての野球をしているのだから自分のためのプレーを優先するだろう。
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