暴力をした3年生は甲子園にも出場し、高校野球を満喫して引退した。
さあ、いよいよ俺達の時代と高校野球に青春を燃やすはずだった下級生たちは
その上級生の不祥事の責任をとる形となってしまった。
不祥事を起こしたのは引退していく先輩達。そのとばっちりを受ける形で、いわば
被害者である選手たちが処分を受ける形となってしまった。
これはやり切れないし、絶望に打ちひしがれたことだろう。
これだけの仕打ちを受ければ、10代の若者はやけになったり、
道を逸らしたりするのも無理はないはずだ。
ところが、その選手たち、つまり引退していった3年生のひとつ下となる2年生は1人もやめることがなかった。
公式戦に出場できないどころか、練習試合すらできないにもかかわらず、
練習を続けたのだ。
試合ができないのだから、練習するといっても、きっとその次代の後輩たちへの
サポートという面もあったに違いない。
ちょっと考えられないくらいの野球への情熱と仲間の団結だ。心を打たれる。
そして、いよいよ処分が解け、事件当時の1年生が主力となった秋の大会は初戦で敗れた。
しかし、自分たちに尽くしてくれた先輩たちのためにも甲子園出場への目標を保ち続けた。
1年間、試合経験がなく、秋も初戦で敗れたら甲子園など遥か彼方と捉えることが
現実的というか、まっとうな感覚と思える。
それでもそのモチベーションを保てたのは、稀有な立場が選手たちの心境に影響したのだろうか。
秋を初戦で敗けたチームには、春の公式戦は用意されていない時代だ。
残るは夏しかない。
この長い期間をブレることなく夏を照準に合わせた選手たちの夏はどうなったのか。
いよいよ次回はクライマックスだ。
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