ホームランを打つためには条件が揃うこと、ということを記した2017年7月7日のコラム。
2017-7-7 ホームランを打つためには打つべき球を打つ ボール球はホームランに出来ない
以前、番組の企画で清原が息子にホームランを見せたいと引退してから体を鍛え直し、
治療の上、バッティングに取り組んだことがあった。
ピッチャーは桑田だ。
しかし、企画は清原がホームランを打つためのものでありながら、一方で清原VS桑田と銘打ち、
真剣勝負ともナレーションしていた。
実際、桑田も変化球を混ぜ、対していた。
企画は、ホームランを打たなければいけない。
ヒットでは意味なし、フェンス直撃もう一歩でもダメだ。
ホームランを打たなきゃいけないとなると変化球を混ぜられたら難しい。
真っ直ぐが来ると思って真っ直ぐを打って、さらにストライクを打って、初めていくつかの確率で
ホームランになる。
変化球を混ぜられたら、それをボール球にでもされたら、本気で抑えようと投げられたら、
まずホームランは不可能だ。
あれも来るかなあれも来るかな、と思いながらでは真っ直ぐには振り遅れる。
変化球に泳がされる。
他の球が少しでも頭をかすめたら真っ直ぐに絞って打ちに行って、そこへその球が来たとしても
数ミリ差されるのだ。
他の球が数パーセント頭をかすめただけで、数ミリポイントがズレ、結果は雲泥となるのだ。
バッティングピッチャーは気持ちよく打ってもらう。
打者がやりたい練習に加担するように投げるのだ。
ホームランにしたいならホームランになるところに投げる。
オールスターのホームラン競争のような時は打ってもらうように投げる。
ホームランになるように打者の要望に応え、ホームランになりやすい高めへ、遅すぎない丁度いいスピードで投げるのだ。
この時の打者は、ストライクを見逃してもストライクと判定されず、カウント不利ともならない、咎められない。
だからホームラン競争として興味を注がれることになる。
変化球を混ぜられ、抑えようとする試合でホームランが出る理由は状況が揃うからだ。
打線の巡り、点差、ピッチャーの疲れ、この場面ではこの球を投げるしかない、
打たれてもいいと投げる場面、など。
打線の巡りとは、後ろに強力な打者がいるから勝負せざるを得ないとか、
脚の速いランナーを塁に出してしまったので、直球系が多くなってしまうとか。
さらに、それもイニングや点差が絡み合う。
投手側からすれば、イニングが浅いときは1点捨てて、ヒットはいいという投球をすることがあり、
点差が離れていればボール球を投げて手を出してくれれば儲けもの、歩かせてもいいという攻めがある。
そうなったら打者はヒットは打てても、ホームランはコントロールミスをとらえるしかなくなる。
また、打者側からして、何が投じられるかわからない状況で成功とされるのは、
ヒットだけでなく、右に打ったり、凡打でもゴロを転がせばよかったり、犠牲フライでもいい場面がある。
ピッチャーにとっては、これさえも防ぎたいという神経を使った投球を強いられ、
それが、甘く行き、最悪のホームランになることもあるのだ。
ゲームの展開がホームランを生むということだ。
漫画「スラムダンク」で、唯我独尊の流川は、沢北に1対1の勝負を挑んだ。
抜くことしか頭にない流川に対する沢北は楽だった。
ことごとく阻止した。
その後、流川はパスを選択するようになる。
すると、プレーに幅が出て、相手は何をしてくるかと迷うことになる。
すると、一瞬の対応が遅れる。
安西先生の
「2本のパスは布石」「あれで沢北君の頭にパスもあると入った」「一つに絞れないから考える」「ディフェンスは考える」
そして
「今度は抜ける」
清原と桑田の企画も5打席用意されていた最初の方は桑田は力のある真っ直ぐ、
カーブ、スライダーを駆使した。
緩急、コントロールをつけられては、ヒットは打てるかもしれないが、ホームランは無理だ。
この場合、流川が桑田で沢北が清原ということになる。
バリエーションのある攻め方をする桑田に、いろいろ考えてしまう清原という図式。
狙って打つ、絞って打つ、ゲームの展開で来る球の確率が変わる。
ホームランを打つためには打つべき球を打つのだ。
ボール球はホームランに出来ない。
甘い球をミスショットなく、捉えてこそホームランが生まれる。
バッティングはタイミングがすべてだ。
打てるコースに(ストライクコース)球が来てこそ、打者は力を加えることが出来、
弾き返すことが出来る。
何時何分、地球が何回周ったとき、ここへ球が通過するとわかっていれば目をつむっても打てるのだ。
そして、この清原がホームランを打つという企画で、最後は桑田が打ちやすいところに放っていた。
ボールが飛びやすいスピードの球を清原のバット軌道に合うようなコースへと
連続して投げ込んだことで、清原はホームランすることができた。
桑田の技術の高さが、清原のホームランを生ませたのだ。
さすが清原というより、さすが桑田というホームランだった。