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戦う世界が変われば立場が逆転する チームの勝利のためのピースたち

先週、

「お前のためにチームがあるんじゃねえ。チームのためにお前がいるんだ。」

という名言からもわかる通り、選手はチーム勝利のためのワンピース。という話をした。

それは、コチラ2016-11-24

 

前回は松井稼を例にとった。

 

今日は、巨人の熊工男前コンビ井上と緒方。

もう、かなり前のことになってしまったが、

30年程前、巨人の熊本工業の先輩、後輩コンビ井上と緒方は、

女性から人気があり、売り出された。

 

まず、井上が爆発的な活躍を見せた。

ちょうど今シーズンの広島・鈴木誠也のように飛び出してきた。

井上は、鈴木のようにシーズン通して活躍できなかった記憶だが、

短い期間ながらホームランを連発した。

 

緒方は、テレビの解説をこなしているので今でも顔は良く知られている。

デビュー戦で2度エラーを起こしたが、当時巨人では一番の俊足として内野も外野もこなし、

1番打者、盗塁王の活躍を見せた。

 

二人は熊本工業で2歳差。

井上が3年生の時、緒方は1年生ということになる。

緒方は当時の雑誌のインタビューで

「高校時代は、雲の上の存在。今では僕の運転手。」と言った。

 

井上はスラッガーとして、巨人からドラフト5位で指名される。

この時のスカウトが

「ON以来の逸材。これをものにできなければ、首脳陣に能力がないということ。」

と、大風呂敷を広げ、現場の人間を苦笑いさせた。

 

一方、緒方は巨人からドラフト6位で指名される。

熊本工業の監督は、井上は当然、指名されるからスタンバイしていたが、

緒方の時は、指名されるとは思っていなかったから、指名され慌てて戻ってきたそうだ。

 

井上は高校時代からスラッガーなので有名だったのだろう。だからこそプロからの指名も

周りは当然の意識だったのだ。

ところが、デッドボールの影響もあったのか、活躍したのは、わずかな期間だった。

そして、外野のポジションも本来、内野手だった緒方が守ることが多くなった。

井上のポジションを緒方が奪ったというわけではないだろうが、

緒方が外野を守ることが多くなったということは、そういう図式と理解することもできる。

 

長打が打てる井上は、スターのような扱いだが、体の小さい緒方はそうではなかった。

それでも、プロというスターばかりが集まる場所では、井上は埋没し、

脚というNO.1の武器がある緒方が台頭した。

さらに緒方はスイッチヒッター、ユーティリティーと自分を生かせる場所がいっぱいある。

高校時代雲の上の存在だった井上より緒方の価値が上がってしまった。

 

生き抜く世界のレベルやチームの兼ね合いにより、必要とされる特徴が変わってくる。

つまり、ピースということだ。

高校レベルでは数が少ないホームランバッターは、重宝される。

しかも、高校レベルなら4割の打率を残すとともに、毎試合のごとくホームランを打ってくれる。

プロに行くと、そんな選手は、ゴロゴロいる。

しかも、ピッチャーのレベルは高校時代の名門校のエースが勢揃い。

2割、10本の選手になったら、シーズン通して使い続けられない。

大田がこの典型だろう。

一方、長打がなくとも脚、スイッチ、ユーティリティでチームにハマれば、ピースとして

いつもベンチに置いておき、いつも使いたくなる。

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