昨日のこの場で、近年、名球会にクリーンアップを打つようなタイプでなく、
スラッガーでなく、首位打者争いをするわけでもない選手が名を連ねることが多くなった、とし、
その中の1人、荒木を取り上げた。
荒木は1番を打つことが多く、打席が多く回ってくるので、ヒットを重ねやすくなるとは言え、
非力なタイプで打撃に優れたという感じではない。
実際、規定打席を超え3割以上をマークしたのは1度だ。
その荒木が2000本超えを達成できたのは抜群の守備力とそれを可能にする優れた脚力があったからだ。
打撃ではない武器で、打撃の一流とされる2000本を達成したことになるのだ。
細身の体ながら身体能力が高いので、守備、走塁で類まれなプレーをする。
それゆえ、使いたくなる。いや、使わずにはいられない。フィールドに常にいてほしい選手なのだ。
落合が中日監督の頃、オリンピックだったと思うのだが、荒木が代表セカンドでない時があった。
その時、落合は、俺だったらセカンドは荒木。あいつは世界一のセカンド、と評していたのは
とても印象深いものだった。
荒木はその身体能力の高さから若い頃は左打ちにも取り組んだ。
プロになるには野手の場合、打力がないとプロからの誘いも来ないものだし、
たとえ、入団がかなっても守備力や走力だけでは常時試合出場というのはむずかしいもの。
守備は、練習を重ねればうまくなるからだ。
打撃を買われて入団した選手が、最初は下手でも使えるようになるものなのだ。
そして試合で打球が飛んでこない可能性もあり、守備力があろうが、
なかろうが試合に影響しない可能性がある。
一方、打撃については、3打席は回ってきて、4打席、5打席それ以上もあり得、
だから、一般的には多少守備に目をつむっても打撃力を優先する傾向があるのだ。
アマチュア選手でプロレベルの守備力をもつ選手は多いが、プロレベルの打撃力があれば、
アマチュアでとどまっているということは少なく、プロから誘いがある。
荒木は、2000本安打を達成し、名球会入りした選手で最もホームランが少ない33本。
荒木は、ホームランを打つ選手を目指さず、脚を生かした選手になることを選んだ結果だろう。
また、つなぎの打順を任されることも多く、打席での制約が多いもの。
その中で2000本のヒットを重ねることは、とても大変だ。
ほとんどの名球会入り打者がクリーンアップを打つなどチームの主力であり、
自由に打たせてもらえる立場にある選手ばかりだ。
荒木は入団から22年での達成というキャッチャーだったから長くできた谷繁に次ぐ
2番目の遅さなのは打撃に特化した選手でなかったからだ。
落合は荒木が2000本を達成した時、相手のヒットを捕った数を加えられれば、
とうの昔に2000本行っているよ。とも言っている。
名球会の入会条件に野手はヒットの数でしかないが、野球は点をやらないスポーツだから
相手のヒットを阻止した守備はヒットと同等以上の価値がある。
名球会入会条件にここらもなんらかの基準が見いだせても、いい。
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