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偉大な脇役の一流 宮本

前回は名球会について触れ、荒木について記した。

2020-1-28 打撃ではない武器で、打撃の一流とされる2000本を達成した荒木 名球会入会条件Ⅱ

野手の名球会入り条件はヒット数でしかないのに、

その打撃に特別優れていたというわけではない荒木が打撃の一流の称号を得ている。

荒木は守備と脚という武器で常時試合出場を勝ち取り、それゆえ2000本のヒットを重ねられた。

打撃に特別優れているわけではなく、つなぎの役目も担っていたので22年を要した。

 

ここで、ヒットを重ねるには不利な立場であるつなぎの役目というワードが出てきた。

これは、宮本にも通じる。つなぎの役目だった宮本も打席に制約が多く、

名球会選手では荒木の次にホームランが少ないのだ。

つなぎを求められ、打席に制限が多い荒木と宮本は、そのため2000本安打達成が遅くなったわけだ。

宮本は大学→社会人を経由していることもあり、41歳5ヶ月でという達成当時は最年長記録だった。

宮本は入団当時、ヤクルトが黄金時代を迎え、ショートにはチームのスター池山がいた。

しかし、池山の怪我によるチャンスが巡り、2年目で開幕スタメンショートに抜擢される。

野村監督は宮本に「自衛隊」「脇役の1流になれ」と要望する。

開幕で野村監督から8番を任せるからと言われ、このチャンスをものにすることになる。

そこから2000本安打に至るには困難な役割を担っていくことになるわけだ。

まず、その前に宮本は大学から社会人野球を経由しているのでプロ入りすると25歳が、

ルーキーイヤーとなり高卒とは6年も差がある。

その分現役期間は短いので当然、試合数、打席数が少なくなり、ヒットの数を増やすのは大変となる。

大学→社会人で2000本以上の打者は古田と宮本、その後、和田という3人。

落合は大学を卒業していない。

3人が右打者という現象はおもしろい。

 

そして最大の難関、つなぎという役割。

宮本は犠打のシース゛ン日本記録を持っている。

つまり犠打を要求される選手は、別の選手にチャンスを回す役割となる。

そうすると打席の中でいろいろな制限が生まれる。

 

犠打の日本記録を持っているように、バントのサインが出れば当然、

ヒットは打てない。

また盗塁やエンドランがあるかもしれない場面では、カウントを待って初球
から打つことは許されない。

盗塁のサインなら塁に出たランナーが、走りやすいようにカウントをつくり、

ピッチャーが変化球を投げざるを得ないようにしたり、

走った時にストレートが来て刺されると思えば、ファールにしたり、

自分のバッティングよりも盗塁が優先されてしまう。

エンドランのサインならボール球だろうが何が何でもバットに当てなければいけなく、

打つ方向も基本、右に打つし、フライは絶対ダメ。転がさなければならない。

自分の好きな球を好きなカウントで好きな方向へ打つということができない制限を

もたされる役割になってしまうのだ。

 

自分の好きなように打席をつくることができない、ということは、1度の打席で

チャンスが何度もなく、1球を仕留めて行かなければならないプロの世界で

ヒットを重ねるには大変な不利になる。

これが宮本の記録を偉大なものにしていることだ。

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