道具は必ず、扱いやすいように作っている。
バットなら打者のため、グローブは野手のため。
ピッチャーのためにバットは作らないし、打者のためにグローブをつくらない。
全ての道具は、扱う人のために作り、だから性能は常に良くなっていく。
未来に渡ってまた道具は変わっていくし、許可や禁止のものが出てくるだろう。
だから今、悪とされるものも実はそう悪でもない、というものも出てくるかもしれない。
昨年から日本でも使っていいと村上が発言していたバットは「まじ堅いっす」
というアメリカ製のものだそうだ。
はじきがいいので飛ぶそうだ。
王のホームランは圧縮バットにより量産されたとよく言われることなのだが、道具の性能は
確実に良くなっているので、今のバットは当時の圧縮バット以上の効果があるかもしれない。
金属バットの扱いは格段に良くなり、振り抜きが良くなった。
今春のセンバツからは低反発バットが導入された。
高校生の技術や体格の進展とともにバットの性能も良くなったので、バットの方に規制を入れた。
ステロイドは体に悪影響を及ぼすため、これを服用しての体づくりは禁止されており、
この服用が判明した、あるいは疑いのある選手の記録は認められないか、灰色となっている。
しかし、ステロイドが健康食で、体づくりにとって容易に効果があらわれるものなら
規制も入らなかったかもしれない。
その前に一般食として流通するのだろう。
プロテインと一緒だ。
さらにこれからステロイドが実は体に害がないものとして生まれ変わったら認められるかもしれない。
しかし、そこには過去との公平さを考慮に入れることになり、
その可否の線引きをどこで折り合いをつけようか。
体をつくることをだめ、とは言えない。
体の成長をだめ、とすることはできまい。
飯を食べちゃだめ、と言っているのと一緒になってしまう。
そして健康を害しないとわかっているものを禁止することもできにくい。
そうなるとやはり道具を規制するか、競技そのもののルールに手を加えるか、となるだろう。