1日飛んで10.19の連載だ。
後世に語り継がれるプレーとは。
9回裏バント処理を失敗して無死1,2塁としてしまった近鉄は、
ここで2塁へ牽制をする。
しかし、阿波野の2塁への送球は高めへ浮いた。飛びついて捕る2塁手大石の動きと逸れる送球に一度、
2塁ベースに戻ったランナーは重心を3塁方向へ移動して、ベースから足が離れた。
飛びついて捕った大石は着地の場所がちょうど2塁ランナーの上に覆いかぶさるようになり、
そのままタッチ。
アウトが宣告された。
どんな形でもアウトが欲しい近鉄としては、ラッキーだったが、これにロッテ・有藤監督は
大石がランナーを押したから足が離れたのだと、抗議をする。
当時、パ・リーグはダブルヘッダーの場合2試合目の延長は12回まで。
ただし、4時間を超えた場合、新しいイニングには入らないというものがあった。
9回裏時点で同点なので、近鉄が勝つには延長でケリをつけるしかない。
9回のこの抗議時点で残り20分ほどとなっていた。
球場は有藤に対してベンチへ帰れコール。ロッテの本拠地なのに、だ。
日本中が早く再開しろ、とこの時は思っていたはずだ。
ロッテファンも、西武ファンすらそう思っていたのではないか。
このプレーは振り返って映像を見ると、大石は押していない。
2塁ランナーが、自らベースから離れている。
この時、有藤は仰木から、「お前ら、もういいやろ」と言われたことにカチンときて、
あんたらだけで野球やってんのか、と反発しているが、この有藤の主張はあてはまらない。
これが、大石が押して、本来セーフなら有藤が時間をかけて抗議してもいいが、
ロッテの2塁ランナーがベースから離れているのだから、時間をかけてはいけなかった。
有藤は卑怯だったということだし、日本の野球ファンに大きな失望と不当なペナントを演出した、
と言える。
これは結果論ではない。あの時、日本中が早くベンチへ帰れ、と思っていたのだから
有藤はそこを汲むべきだったのだ。
日本プロ野球史上に残る名勝負を台無しにし、野球の発展を削ぐ行為だった。
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