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高校野球で抗議を受け入れた見たことのないシーン

先日、審判の裁量について過去の出来事を2日に渡って挙げたことがあった。

2020-9-28 審判 裁量判定 同時はアウトかセーフか

2020-9-29 審判 裁量判定Ⅱ高野連が監督をなだめすかす

 

2018年の東東京大会準々決勝では本来、抗議が許されない高校野球でこんなことが起きた。

安田学園-小山台 8回、レフトポール際の打球のファール判定に小山台から
審判へ確認が入る。

審判団協議のあと、ホームランへと覆った。

 

納得いかない安田学園はベンチの背番号10の選手が執拗に主審に確認を続ける。

高野連が審判団に再協議を促し、審判団が再協議の上、出した答えを高野連と再確認の末、

ファール判定にまた覆えてしまう。

ファール判定→協議→ホームラン→協議→ファールへ訂正されるという、高校野球で見たことのないシーンが展開された。

ファールを確信する1塁側ベンチの安田学園は、監督が怒りをこめた雰囲気だった。

そこへ10番の選手が主審へ確認する。確認というより完全に抗議だった。

 

説得しようとする主審に対して、「いや、いやこうでしょ?」

それでも説得しようとする主審に対して、安田学園の選手は膝に手をやり苦笑いで首を振る。

終盤の1点を争う場面で、確信しているだけに引き下がれない。

高校野球は負ければ終わりなのだ。

 

安田学園が執拗に、主審に食い下がらなければ、ホームランとなっていた。

最終的にはファールが正しいと審判団が判断したということは、安田学園が異議を申しださなければ、

誤ったまま試合が進んだことになる。

そして、本来、高校野球では許されないはずの抗議が許され、認められたことになる。

終盤で僅差のホームランだから、こうなったわけだが、ただのアウト、セーフでも抗議が認められていいことになるはずだ。

野球は、ひとつのアウト、セーフ、ひとつのストライク、ボール判定がその後の試合展開を左右するのだ。

 

ライブ中継でのテレビの映像ではファールに見えた。

テレビも誤審がバレかねないからリプレー映像を流さない。

審判団や高野連に配慮してこういう時は静観するのだ。

 

ファール→ホームラン→ファールと変わってしまうということは、審判の誰もわからないということだ。

審判4人、特に3塁塁審と主審は、俺はこう見えたけど、もうわからないよ。

自信ないよ。どうしよう。リプレー検証できないし。。。という状況だったのだろう。

 

それは、仕方ないことだ。

これを審判の能力不足で片付けるのはかわいそうだ。

一瞬の判定を100%正確になど、人間には不可能なのだから。

プロでさえ間違えることを認め、リプレー検証を導入したのだから。

 

両ベンチがファールだ、ホームランだ、と主張する中、協議を必要とするほどはっきりしないのなら

自信をもって一瞬の判断に頼るということは人間の心理としてままならないはず。

時間の経過とともに、その判断に不安となっていくはずだ。

 

これを不安なまま一度出した判定を貫くことを強いたり、判定が変わることに審判の威厳などと

意固地になったりすることもない。

判定は正確のみ是であり、何度も確認し、覆ることは何も問題ない。

正確で納得いく判定を時間をかけてでもやったらいいのだ。

ただ、そうするための仕組みにしておく必要はある。

高校野球には抗議が認められていないのにこの時は許される形となってしまった。

抗議ではなく疑義の時は確認にとどまり、判定が覆るなどはないという倣いだっ

たはずだ。

これではルール無視となってしまうのでそこを整備しておくことだ。

 

審判団に自信がない中、安易な結論に落ち着かせることは、審判団と選手たち、双方に不幸となる。

これまで青春を賭けてきた選手たちの努力が一瞬で水泡に帰すことになり、

審判団はのちのちも、後悔や反省にさいなまれることになりかねない。

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