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甲子園で導入されたリプレー検証

たった一人の一瞬の判断が覆ることのない世界。

法治国家が無視される空間が高校野球。

正義よりも、空間内の疑問だらけの変わることのない規律に従う。

高校野球判定の姿勢、木曜連載5回目。

2023-8-17 糾弾、解体、呆れ、それでも存続し続ける高校スポーツ界の勝負

2023-8-24 判定は100%正確で当たり前の世界 褒められない

2023-8-31 高校生の高度なプレーに審判がついていけない

2023-9-7 審判より球場中の観戦している人間の判定の方が正しいことだらけ

 

先日のU-18では国際ルールに基づき映像判定が取り入れられた。

高校野球でも実はリプレー検証を採用したであろう場面があった。

 

数年前の安田学園-小山台の8回、レフトポール際の打球のファール判定に小山台から審判へ確認が入った。

審判団協議のあと、ホームランへと覆る。

納得いかない安田学園はベンチの背番号10の選手が執拗に主審に確認を続ける。

高野連が審判団に再協議を促し、審判団が再協議で出した答えを高野連と再確認の末、ファール判定に覆る。

ファール判定→協議→ホームラン→協議→ファールへ訂正されるという、

高校野球で見たことのないシーンが展開された。

 

10番の選手は主審へ確認するというより完全に抗議だった。

説得しようとする主審に対して、「いや、いやこうでしょ?」

それでも説得しようとする主審に対して、安田学園の選手は膝に手をやり苦笑いで首を振る。

終盤の1点を争う場面で、確信しているだけに引き下がれない。

高校野球には1試合しかないのだ。

 

安田学園が執拗に主審に食い下がらなければホームランとなっていた。

最終的にはファールが正しいと審判団が判断したということは、

安田学園が異議を申しださなければ、誤ったまま試合が進んだことになる。

そして、本来、高校野球では許されないはずの抗議が許され、認められたことになる。

 

ファール→ホームラン→ファールと変わってしまうということは、審判の誰もわからないということだ。

審判4人、特に3塁塁審と主審は、おれはこう見えたけど、もうわからないよ。自信はないよ。

どうしよう。リプレー検証できないし…という状況だったのだろう。

 

高野連が再協議を促した点を見ると、実は見守っていた高野連の人達の大勢が

ファールと見ていたからかもしれない。

もしくは、高野連がリプレー映像を裏で見たからかもしれない。

 

2018年増田東-常葉菊川、3回表増田東一死,一、二塁でショートゴロにショートは前に突っ込んで捕球した。

二塁ランナーと接触するような位置となり、接触はしなかったものの捕球したグラブを上に上げただけで、

ランナーの股の間をタッチする形になった。そして二塁へ送球した。

 

これに二塁塁審は守備妨害のジャッジをした。

タイムをかけ、審判団協議をして、改めて二塁塁審が二塁ランナーの守備妨害を示す。

その後、裏にいる高野連の人と思われる関係者と何やら話しだした。

その人はモニターを確認しているようだった。

そして、その内容を伝え今度は守備妨害ではなくタッチをして二塁送球フォースアウト、ゲッツーとして

攻守交替のジャッジを下した。

 

二塁塁審が守備妨害と言い、さらに審判団協議を経てまで出したジャッジを

裏の人との打ち合わせで覆るということはリプレー検証したのだろう。

映像でないとすれば、現場の審判の判断が控えの審判や高野連関係者の大勢とかけ離れた場合、

検証、助言が行われるというシステムなのだろう。

 

プロのように明確なルール変更として名称を固定してのものではなく、公にしてはいないが、

内内で対応しているのだろう。

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