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固執が生む日本の野球システム 野球の‟流れ“の正体Ⅷ

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月曜連載している野球の‟流れ“の正体について。

8回目の今回も、‟流れ“のように球界に浸透している常套句を取り上げる。

 

これまでに取り上げたのは、

「4番が打てばチームは勝てる」「四球の後のストライクは狙われる」「代わった野手のところに打球が飛ぶ」「野球は2死から」

その内容はコチラ⇒2017-10-16 大昔から伝わる野球の常套句を検証 野球の‟流れ“の正体Ⅵ

 

他には、「練習はうそをつかない」

コチラ⇒2017-10-23 練習はうそをつかないのか 野球の‟流れ“の正体Ⅶ番外編

 

「フライを打つことは、打者としては最悪の結果」「4番は打って返すもの。それも相手投手の最高の球を打つこと」「キャッチャーからピッチャーへの返球にはセカンド、ショートはカバーに入る」「追い込まれたら広くとれ。」「真っ直ぐに照準を合わせて、変化球だったら一呼吸待って打て」「打者は詰まったら負け、あるいは恥」。

 

「フライを打つことは、打者としては最悪の結果」

フライにはイレギュラーがないからだ。打球が上がった瞬間、守る方は捕るだけで

ひとつのアウトが貰えるから。対してゴロを打てば、イレギュラーの可能性がある、

スローイングのミスの可能性がある、ファーストなど送球を受ける側がミスする可能性がある、

打者走者の足が勝る可能性がある、と、可能性が広がるためフライは打つなと言われてきた。

しかし、ポップフライとホームランは紙一重だ。ホームラン打者はフライを打つ練習をする。

打球に角度をつけ、バックスピンが効いた打球がホームランになるからだ。

 

これからどれだけ成長するかわからない小、中、高校生に対して

勝利ばかりに重点を置いたり、画一的な指導によったり、選手個々の発想を排除したりすると

その選手の可能性を狭めてしまう恐れがある。チームとして勝利にこだわる姿勢を覚えるとともに、

選手には可能性をもたせた指導が必要になってくるはずだが、

この日本の野球システムが、こういった固執を生んでいると見る。

 

「4番は打って返すもの。それも相手投手の最高の球を打つこと」「キャッチャーからピッチャーへの返球にはセカンド、ショートはカバーに入る」「追い込まれたら広くとれ。」

についても、過去のこの場で詳述している。

 

「真っ直ぐに照準を合わせて、変化球だったら一呼吸待って打て」「打者は詰まったら負け、あるいは恥」

真っ直ぐ待ちの変化球対応ということになるのだが、なぜこれが奨励されてきたか。

速い球に合わせておかないと振り遅れるので打ち返せないという発想からだ。

 

変化球のタイミングで待っていると速い球にはとうてい間に合わない。たしかにそれはその通りだ。

しかし、常に速い球に合わせるだけのバッティングをしていると

バットを振り出すまで見分けがつかない変化球は、バットに当たらない。

いわゆる切れのいい変化球には無理だという結論に至る。

真っ直ぐ待ちの変化球対応は、現在の多様な球種と本当に切れのいい変化球には、

理論として合わなくなってしまった。

 

これは、もうひとつの常識であった「打者は詰まったら負け」というものも影響していよう。

 

詰まるというのは芯より根元に当たることを言い、振り遅れていること。これは打者の技術不足であり、

投手との勝負に負け、打ち取られの代表のような意識が浸透していたため

詰まらないように打ち返すには、真っ直ぐに照準を合わせろとなったのだ。

 

ところが、多彩な変化球と速くなったファストボールに

芯に当てて強い打球で打ち返すことだけで出塁しようとしても成功率が低くなった。

 

この「詰まったら負け」という発想がなくなってきたおかげで、新たな常識が浸透してきた。

 

ストライクの速い球は振り遅れのファールで逃げ、変化球も前に飛ばす気はなくし、

甘いところに来た場合のみ打ち返すというバッティングだ。

 

追い込まれた場合、つまり打者不利のカウントになったとき、なるべく引きつけ、ファールすることで

球数を投げさせ、ついにはフォアボールを選ぶという作戦だ。

 

この場合、振り遅れようが、芯に当たらなかろうが、フェアゾーンに飛ばなかろうが、

ヒットにならなかろうが、関係ない。

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