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清宮のその精神性が飛躍につながることを願う

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今日から甲子園が開幕だ。

と思ったら明日になった。

 

先週、何度か清宮の最後の夏についての話をした。

ひとつは、清宮も早実のキャプテンとして、仲間とともに甲子園出場だけを見つめた

ということ。

もう一つが、清宮の打球の異質と通算ホームランについての言及。

滞空時間の長い外野フライには、経験のない打球なので外野手は、下がっていいのか、前なのか?

 

明日からの夏の風物詩に清宮の姿はない。

 

昨年の夏、西東京準々決勝で敗れたときのコメントは

「3年生ともうできない。悔しいです。自分たちを背中で引っ張ってくれた人たち。金子さん、副キャプテンの吉村さんは泣かずにすがすがしい顔をしてて、自分たちは頼り切っていたんだなと。(甲子園に)連れて行きたかった」

さらに

「西東京を勝ち抜くのが一番難しい。今年、改めて難しさを実感させられた。甲子園は本当に遠いところ。この経験、この悔しさを共有して、日々練習に取り組んでいきたい」

そして今年、キャプテンとして気丈に振舞おうとしていたが、

話が仲間のことに振られると、言葉に詰まった。

高校野球を集約すると

「最初は甲子園に出て優勝だったが、今思えばやっぱり友情とかチームを作る過程とか、そういうところ」

だそうだ。

 

同じ高校生として同じ目標に同じ時間を共有した者同士が別れを告げられる寂しさ。

自分より実力が劣る選手であっても一緒に濃い時間を過ごした仲間との別れはとても寂しい。

野球どうのこうのより、濃い時間をすごした人間のつながりを知ることになり、

人生の肥やしとして次のステップへの意欲につながっていく。

 

人間のつながりが、野球という遊びを凌駕して胸にしみるから涙に暮れるのだろう。

人間としての成長に野球というツールを利用しているのだ。

そしてその人間としての成長が野球の技術向上にも生きてくる。

 

今まで一所懸命やってきたのに

いきなり終わりを告げられるその人生最上級の虚脱感、脱力感は、

その選手のこれからの糧になる。

たった2年数か月の出来事なのに、

この高校野球という共通の話題を同じ時間を過ごした人と話しても、

そうでない違う世代の人と話しても、話題は尽きることなく一生語り合える。

それだけ、濃い時間であり、人生に必ず影響を与える。財産となる。

 

高校野球は、

高校生活という限られた二度と戻らない時間の中で行われること。

味方も相手も同世代の人間で行われること。

考えも体も未熟だが、多くの時間をそこへつぎこむこと。

大人の感覚も持ち合わせてきて、とても感受性が高く、吸収力のある時期に入魂すること。

このような境遇は人生の中でこの時しかない。

故に特別な連帯感が生まれるものなのだ。

 

清宮は、野球の実力を伸ばすことだけを考えれば、

高校野球をやっている時間がもったいなかったはずだ。

飛び級として、プロの下部組織や育成で入団させた方が日本の野球発展には有効だろう。

 

だが、有限の高校野球でキャプテンとしてチームを引っ張る経験は

人生の中ではとても濃い時間で、野球の技術の向上同様、有益な時間。

人間の器を大きくし、考えること、感情を豊かにすることは

技術の向上にも生きてくる。

 

引っ張る立場として気丈に振舞おうとしたこと、

常に注目され、多くの記者に囲まれながらも、それに一生懸命答えてきたこと、

仲間の事と過ごした高校野球を思い返すと心を震わせること、

この精神性が今後の野球人生の飛躍につながってほしい。

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