フォースボークについての連載は5回目になった。
フォースボークの成功確率は低いとし、それは守る側が普通にプレーすれば防げるからだった。
フォースボークは守る側に慌ててもらわないと成功しないというプレーなのだ。
そして、そもそもランナーを動かす作戦の成功期待は大きく望めないということも記した。
野球は基本、守る側の動きに合わせて攻撃するという珍しい競技だ。
ボールを持つ側はたいがいのスポーツが攻撃をして得点を目指すのだが、
野球は守る方がボールを持ち、失点しないことを目指す。
バレーボールのサーブ側は守勢に回るとみることもできるが、サービスエースで得点できる。
テニスはサーブで仕掛け、相手に返しが弱くなるように攻めている。
野球ではボールを握る側に得点チャンスはない。
完全に守るだけだ。
だからまずボールを持つ守備側が能動となり、それに合わせて打ち、ベースを奪う。
攻撃が受動という競技だ。
ボールが自分のところから遠い位置にあり、27メートル先のベースに進むまでにこちらに
来ないだろう、と思われると一瞬で判断したときに、ベースを奪いに走ることがランナーの基本の動きだ。
つまり相手に委ねることになるわけだ。
だから打つことが基本となる。
打つこともピッチャーが投じる球に対処するのだが、必ずしも打たなくていいし、
ファールを打つことが使えるし、フォアボールがある。
必ずしも打ち返さなくてもベースを奪うことができる。
バントは引けばもう一度チャンスがあるし、エンドランは自分が倒れてもランナーを進められる。
相手にゆだねるだけでないのがバッティングだ。
走塁はこれと少し違う。
バッティングのように意にそぐわない場合に逃げるとか、もう一度チャンスをうかがうとかがなく、
行くか、行かないかのアウト、セーフしかない。
行けない場合に戻るのはもう一度のチャンスをうかがうためと言うより、何もしなかったと同じ事となる。
次回へつづけよう。