高校野球の下克上について記す、4回目。
高校生だけの一発勝負という条件が逆転には最大の光明だ。
下克上はここにある。
今年の日本シリーズでも活躍していた阪神の石井は高専卒では初めてのシーズン勝利投手だそうだ。
高専はその名の通り専門の高校で5年制だから卒業すればその専門の道へ進むことが多い。
というより、そのためにその学校を選択するのだから、当然、そういう道を選ぶ。
当然チームは強くない。
そして、4年生からは高校野球部員として試合に出る資格がないから活動には工夫をこらすことになる。
この5年間の活動でプロを目指す気持ちに変わったそうだ。
高校野球の下克上は高校時代のみだけではない。
高校時代は2年数か月という極端に短い期間での勝負になるので、やりきれないまま
退場することがほとんどだ。
その一方で成長期のこの時期は、極端に短くとも体も技術も一気に伸びる。
高校野球で勝つためには体格、情報、経験だ。練習量ではない。
この3つが不十分であるがため、下克上どころか好勝負すら達成せず、退場する高校生がほとんどだ。
こうしてやり残したと感じたり、まだまだやるべきことがあると感じたり、といった志が芽生えた選手が
次のステージで高校時代に果たせなかった下克上に向けて動き出す。
その時の第一条件は体力、体格となる。
情報、経験は一旦リセットされるので次のステージで吸収することになり、
まず相対できる体が必要となってくるのだ。
運動神経の良い、センスあふれる高校生が一生懸命練習しても、体格の良いプロのレベルにはいかない。
結局、体格がなければ技術を獲得できないし、その先の伸びもない。
運動神経やセンスでは実は勝っていても、勝負では負けてしまうのだ。