低反発バット導入の理由のひとつ、打球の速さによる
ピッチャーの大怪我を防止することについては以前記した。
2024-4-4 硬いボールを人めがけ、硬いバットを目の前で振り回す野球 低反発バット導入
もう一つは打撃力を落とす、か。
別の言い方をすれば投打のバランスを再考する、あるいは野球の質を見直す、ということ。
それは行き過ぎた打撃力を抑制するという見方につながるわけだ。
金属バットによりバットの消耗という憂いからは解放されたものの、これによるバッティングが
野球の本質にかなうものかはわからない。
そして高校野球の存在理由として遠くに飛ばすことによる派手さを快楽のひとつとして
定着させることに抵抗がある、という理由もくすぶっていそうだ。
金属バットは世界基準ではない。
U-18の国際戦ではそれまで金属バットを使っていた高校生も木のバットを使う。
高校野球にはプロ養成の一面が内在していると見た時、金属バットは技術発展へは弊害の方が大きそうに思える。
高校野球に金属バットが導入される前に高校生活を終えプロの世界に入った野球人は
真剣勝負で金属バットを使ったことがない。
プロの選抜とアトランタオリンピック日本代表の試合が開催された時、アマチュアで
構成された代表は金属バットを使った。
プロの方の監督を務めた野村は金属バット経験がない。
成熟された大人で、しかも日本を代表する打者が金属バットを使ったときの威力に驚いていた。
芯をくったら正面に飛ばない限り、皆、間を抜けて行く。と表現していた。
ブンブン振り回すキューバは、海外でのプロが認められていなかった当時、金属バットで連勝を重ねた。
長打が出にくい今回のセンバツでは外野が前に来た。
ワンヒットで二塁から還ってくるケースも減ったことだろう。
ランナー二塁の場面で前に来た外野の前に転がったヒットを
前進して捕球した外野手はかなり前からバックホームしており、それは内野手の
すぐ後ろから、という表現をしてもいいほどのものだった。
これでは本塁でのクロスプレーなどというダイナミックなプレーには到底見えず、
お遊戯に映った。