予選のベンチ入りメンバーが発表され、ベンチ入りを逃した選手は
不要かといえばそうではない。
彼らがレギュラーメンバーのサポートに回ることにより充実した練習ができ、
チーム力は上がる。
これも全員野球といえる。
引退試合の時だけはレギュラーメンバーが応援に回り、スタンドやベンチで声援を送る。
そして引退メンバーによる真剣勝負が行われ、試合終了後はこれで引退となるメンバ-は
涙を流し、それをレギュラーメンバーは抱きかかえ、ともに泣き、これからはじまる夏の大会に
引退メンバーの分まで全力で戦うことを誓い、引退メンバーも全力でサポートすることを誓う。
世の中は平等にできていないもの。
能力や制限があるため、平等でない方が効率よく、その方が結果、
より喜びが多くの人にもたらされると考えられているから。
野球において考えれば、実力のあるやつ、若い奴を伸ばした方が良いという考えに至る。
それにより勝つ確率が高くなり、勝つことこそ最高の喜びになるのだ。
全員に同じ練習を課し、時間、場所、道具を共有していては
可能性のある人間の成長を阻害しかねない。
そんな多くの意味を持つ、高校野球の引退試合。