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俺たちの高校時代の青春の1ページ ほっとけ 球数制限の喧噪

球数制限については、今回で4回目。

2018-8-24 能力あるピッチャーは必ず壊れる宿命 ダルビッシュと大谷が投手生命の危機

2018-8-27 甲子園投げすぎ問題 球数制限に二の足を踏む理由

2018-8-28 お金をかける決断で選手を集め格差が広がる球数制限 チームづくりの根本が変わる

暑さ対策については

2018-8-23 吉田投げすぎ問題 毎年問題になりながら手を加えられないまま100年

 

球数制限を容易に導入できないのは、

ピッチャーが勝敗を握る野球のルールがあり、ここに制限をかけると

これまで、多くの人の心をつかんだドラマが生まれなくなるということが理由のひとつ。

また、お金をかけられる強豪、名門がピッチャー数枚を擁して勝ち上がることになり、

選手を集められないチームが勝つことが難しくなるということが理由のもうひとつ。

 

球数制限といっても、どんな制度にするかに知恵がいる。

1試合の球数制限を設けるのか、とか、

1試合投げきったら、中何日空けなきゃいけないとかにするか、とか、

何球以内なら連投OK、とか。

 

チーム作りが変わるのと同時に、戦略も変わることになる。

1試合の球数制限があれば、

エース1人に頼るチームに対して、とにかく放らせるよう初球から打ちに行かなくなる。

初球でヒットを打つより、10球投げさせてアウトの方が、価値が出てくる。

ファールを打つ技術が重宝されることになる。

球数投げさせるのも作戦だから、球数制限があろうとなかろうと、取るべき戦法だが、

目的が投手降ろしとなると、野球の質は変わる。

 

中何日空けなきゃいけないとなれば、当然、

エース1人に頼るチームは、トーナメントの早い段階で敗ける。

すると、残った強豪チームは組み合わせによって、相手の嫌なピッチャーが使えないと知ると、

自チームの控えピッチャーで十分という判断ができる場合が出てくる。

そして、うまく休養を使えるピッチャー数枚を擁するチームは

トーナメントが、今以上に楽になる。

 

ただ、これらの理由を並べたところで、本当は、そんなに大げさに考えることもないことのはずなのに。

それは、所詮、高校生の部活動だということだ。

目的は、青年に健全な精神と肉体を宿すためにやる課外授業ってこと。

その意味からしたら、規制や革むことにハードルは高くない。

勝敗は2の次であり、むしろ負けることが生きる糧になったり、不条理が教訓になったりする。

 

だから、大阪桐蔭春夏連覇とか清宮通算本塁打新記録とかどうでもいいこと。

下世話なマスコミが世間の興味を引こうと、繰り出した見方に世間が煽られて、

乗っかってしまったのだ。

本来は、規制を入れるのも簡単だし、逆に、勝手にやってもいいという見方もできる。

選手の野球人生は先があると言っても、野球選手育成のためにやっているわけではないのだから。

 

それなのに導入がままならないのは、もう部活動の域を飛び出し、文化にまで発展してしまったから。

観る側も子供の部活動としての目など、誰も持っていない。

目線は、プロと同等の目で見つめ、それを興行として見ている。

そこには、感動のドラマを求めたり、地元のヒーローを求めたり、

日本野球発展の礎を求める目で見ている。

この場でも、そういう見方をして、野球の質や選手の可能性について記している。

本当は、ただの部活動なのだから、外部はほっとけって話なのだ。

やっている側からしたら、俺たちの高校時代の青春の1ページに過ぎないのだから、

テレビやマスコミで大きく取り上げて、ギャーギャー騒ぐな。

プロじゃないんだから、勝手に写真撮ったり、勝手に批評するな、って話だ。

 

ところが、もうそんなものは許されないほど日本の文化になった。

だから、プロ予備学校や野球専門学校のような高校が出現する。

たかが野球を看板にするだけで、有望な生徒が集まり、お金も動き、それだけでも学校経営が成り立つ。

 

球数制限は、高校野球のこれまでの歩みを根本から変えてしまう出来事になるので

容易に踏み込めない。

 

だから、過密日程の方が無謀であり、こっちの方が取り組みやすい。

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