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イチローが危惧した野球の行方Ⅳ

捕って、投げて、打って以外にも勝敗を構成する要素というのはいくつもある。

2020-10-22 イチローが危惧した野球の方向

2020-11-19 イチローが危惧した野球の方向Ⅱ

2020-12-3 イチローが危惧した野球の行方Ⅲ

 

ヒットになるところに野手がいれば、ヒットにはならない。

ホームランになる球もそこへ投げなければホームランにならない。

ホームランになるような球を投げざるを得ない状況を作ったからホームランになる。

一瞬の迷いや決断が塁を奪うか、防ぐかにつながる。

中継プレーの巧拙で記録に表れない失点が増えるか減るかが決まる。

狭殺プレー、カバーリング、打順、代打、エンドラン、バント、選球、ゴロゴー、etc..

 

過去にこの場で記した記録に表れないプレーを2つもう一度記そう。

これは、ホームランや快投、ファインプレーでないので勝負を分けたプレーなのかもしれないのに

誰も取り上げず通り過ぎてゆく。

今季のロッテ‐日ハム戦でのワンシーンだ。

 

まず、荻野が左中間を破る。これに対してレフトとセンターが打球を追う、その動きに合わせて、

ショートがカットに動く、ファーストはもうファーストベースを守っていても仕方がないので

ショートの後ろの2枚目のカットに入る。

この場合、左中間を破られた時点で2塁タッチプレーは不可能なので、チームによっては

ファーストが打者走者の荻野を追っかけてセカンドベースカバーへ向かう。

セカンドがベースを離れて、ショートの後ろの2枚目のカットラインに向かう、となる。

または、ここの判断が難しいのだが、ホームが無理だと思えば、セカンドは

サードへのカットラインに向かう。

他の選手はベースカバー、そのカバーというところに全員が動く。

 

この時、間に合わないホームを諦めて、カットマンがカットしていれば荻野は進塁できなかった。

カットのファースト中田は本塁クロスプレーになると思ったのだろうが、

その判断では野球センスが足りないということになる。

荻野も暴走なのだ。荻野は中田が必ずカットしないと読み切ったのか。

それならば、逆にハイセンスだ。

中田の方も、荻野をおびき出して、サードで刺してやろうと後ろのキャッチャーを信用して

スルーしたとしたらハイセンスだ。

キャッチャーの石川が、もっと前で捕りに行き、サイドから投げれば、サードで刺せた。

 

裏を読んでのプレーが誰もできていないとしたら、全てが未熟なプレーで

3塁クロスプレーになってしまったということになる。

逆に誘い出した中田、読み切った荻野という、駆け引きがあったのならハイセンスであり、

石川のダッシュと送球が遅かったということになる。

 

解説者が触れたのは中田がカットすべきだったということだけだ。

これらは凡プレーの連続だとしても、誰にもエラーがつかず、後にも取り上げられず忘れられていく。

ハイセンスな攻防があったとしたら、あの時の一瞬を、当事者に聞き、どういうひらめきで

そのプレーを選択したのかを追求すると野球のおもしろさが伝わる。

全てが記録には残らず、通り過ぎていく。

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