毎日野球コラム - 野球コラムサイト -

野球を超越したドラマ ドラフト2020 行きたいチームに行きづらいプロの制度 今週のダイジェスト

2020-10-26 ドラフト2020

それでもドラフト廃止の声はあまり上がってこない。問題を多く抱えながらいまだに続いている。むしろ今の方が注目が高まっている感があるくらいだ。それは、ドラフトがこれまで多くの人間ドラマを生み出してきたからだ。ファンが予想してワクワクできるという、それだけでスポンサーがつく巨大イベント、巨大コンテンツになってしまったから。今のドラフトは、ファンが会場に入ることができ、始まる前は12球団入場なんてのもあるくらいだ。笑わされる。スポンサーのリポビタンDはドラフト会議を応援するとまで言ってしまっている。この時期になるとあらゆるメディアで指名予想を楽しみ、本番では意外な指名にどよめき、くじ引きでは、当事者でもないのにドキドキしてしまう。さらに、下位でひっかかった選手のこれまでの経緯に感動したり、苦労に共感したり、と野球を超越したドラマを楽しむ。

 

2020-10-27 大学4年間で高卒プロ組を追い越すか ドラフト2020

高校生は、やはり甲子園という世間に幅広く知られる100年にも及ぶ伝統ドラマがあるので、そこで活躍した選手はスター候補になりうる。大学生や社会人の大人を指名するよりファンは注目し、応援したくなるからプロ側もそういう選手を育て、ファンを引き付け増やしたい心理が働く。そんな金儲けのネタとして重宝するマスコミやヒューマンドラマを楽しんじゃおうとする傍観者とは裏腹に、ドラフトは指名される側の当事者はたまらない。行きたいところや自分に合うであろう職場を選べないのだから。自分の人生をくじに左右される。しかも、他人が引くくじに。せめて、指名した球団の名が入ったBOXに自分で手を入れ選べば、まだ納得できよう。指名と抽選は別日で、本人に次の日にでも引かせてあげたらいいのに。

 

2020-10-28 ロッテより弱いとは言ってないのに 10.19の雪辱

制限時間が来て、勝ちがなくなった近鉄。勝ちがなくなったということは優勝がなくなったということだ。しかし、試合は続く。裏の守りにつかなければいけなかった。これを最も虚しい守備と言われている。それはそうだ、守るものが何もないのだから。優勝がなくなった状態で敗けようが何しようがまったく関係なくなった。何を守るというのだ。翌年またも西武との接戦となり、前年の悔しさを晴らして、パ・リーグ覇者となる。昨年涙を飲んだダブルヘッダーをこの年は、ライバル西武を相手に今度は2試合ものにする。語り草となったブライアントの4打数連続ホームランで。ブライアントは通算6度の1試合3発の日本記録だ。

 

2020-10-29 野球を超越したドラマ ドラフト

ただ、矛盾と問題を抱えていても、プロが億を払ってでも投資したい選手を高らかに宣言するという場があるということはファンに興味をひかせる。つくられた主旨とは違っていたはずだが、良い作用となり、球界は御の字だ。プロが億を投資します、という宣言は、彼らのこれまでの野球人生の苦悩に対する賛美ととらえればドラフトは1大イベントとなっても然りない。

 

2020-10-30 実力がある選手ほど行きたいチームに行きづらいプロの制度

江川の時は巨人一徹を貫かなきゃいけないところに追い込まれた感がある。あれほどの怪物でなく、あれほどの騒ぎでなければ、どこかで妥協して他の球団に入っただろう。周囲が大騒ぎするから、意地になったのだ。それで高卒で阪急を断り、大卒でクラウンを断り、浪人で阪神を断り、野球に集中するための環境はベストには働かなかっただろう。高校時代が一番すごかったとはよく聞く話だ。実力豊かな若者を救うに苦悩して編み出したのが巨人のウルトラCだったとも見られる。ドラフトという矛盾に満ちた制度に対してなら、その虚をついた巨人の行動だって卑怯や狡猾とは言い切れない。江川の才能を守ってやるためには、それくらいやっても良かったとも言える。責められるべきは江川でも、巨人でもなく、むしろこの制度を善とした連盟とマスコミだし、それを受け入れた観ている者達だし、企業努力をしなかった他の球団だという見方ができる。

野球情報メールマガジン

https://twitter.com/yakyucolumn

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

傑作コラム

TOP