もし変化しなくともボールだから打たれないし、打ってもファールだし、フェアゾーンに入れようと打者が思えば快心の当たりにはならない、ということ。変化せず、そのまま行けばボールカウントがひとつ増えるだけで打たれはしない。そしてそれは結果、インコースをついた見せ球の効果に変わる
巨人戦に執念を燃やすヤクルト・野村監督は相手エース斎藤のデータを集め、そのひとつにスリーボールになると左打者には外からのスライダーでカウントをとってくるというものを持っていた。そしてスリーボールになったとき、スライダーにヤマをはった小早川に外を狙ったスライダーが内に入ってしまった。こうして小早川は息を吹き返し、ヤクルトはこの年優勝へとつなげた。
競技性としてここをなくしたら、浅薄にならざるをえず、発展しないのだ。野球はサインがたくさんあり、球種があり、牽制やカウントが認められている。ということは、相手を読み、裏をかき、心理戦を認めているということになる。そうなると当然、間を使うことになる。
2023-12-7 山あり谷あり逆転あり、だからおもしろい 都合のいい表現「流れ」
実力均衡のゲームは単調に9回まで進むということはまずない。高校野球のよう選手を集めたチームとそうでない公立校などでは最初から最後まで差が開きっぱなしということはしょっちゅうだが、大学野球のようにレベルに合わせたリーグとなっていたりプロのように移籍が頻繁で一握りのハイレベル選手だけで構成される仕組みであったりする場合には逆転ゲームはあるし、状況により選手交代は多いし、持てる駒の配置を考えるし、首脳陣はどうするかを考える。単調に進む場合は特別なピッチャーが投げるか、その日絶好調のピッチャーだった場合だけと言える。
2023-12-8 ヒットを打つよりチームが勝つためのバッティングを
高橋由伸が監督に就任した時、原が長く政権に就いていたため勇退し、その後釜としての器がある人間として高橋しかいないとの判断からプレーヤーを続けたかったにもかかわらず、白羽の矢が立った形に映った。高橋は現役最終年の開幕戦でも、スタメンを張っていた。大ベテランとなっても足と肩という圧倒的に若手が有利な条件を要求される外野手で開幕スタメンを張るというのは技術が高いことを示していたわけだ。