毎日野球コラム - 野球コラムサイト -

弱小チームの間違った鍛錬 うまくはなるけど勝てはしないⅣ

Generated by IJG JPEG Library

金曜連載4回目。

前回までは2016年4月29日 2016年5月6日 2016年5月13日

前回はある試合で

肩の弱いレフトの選手が自分の実力をわきまえず、

ダイレクト返球でランナーを刺すという思考に至った結果が大けがになった例を出し、

自分を知り、チームで各個人の能力を共有し、戦術をかため

やるべきこと、というよりやれることを確実にこなすことを奨めた。

 

情報分析は今や当たり前。

強いチーム、予算を避けるチームほどここに力を入れることができる。

情報を仕入れ、相手を分析すると同時に自分を知るということ。

これが勝負を分ける要素のひとつめ。

情報とは自分を知り、知識を得、相手を知り、考え方を進歩させ、

自チームの戦い方を形づけ、理論をのばしていくこと。

 

他の例をつづけよう。

今、女子バレーが五輪出場のために戦っている。

スポーツは勝つためにやるものの、

その試合の展開、選手の意地、戦術、肉体の可能性、人間ドラマ、

といったものを試合を見て、まさに、その時、楽しむものだ。

しかし、五輪予選というものは勝つこと、結果以外はなにもいらない。

楽しみや成長などこの試合には求めない。勝つことにしか価値はない。

という位置づけになる。

タイ戦は終始劣勢の中、相手のレッドカード2枚という運も味方し、逆転勝利を収めた。

 

バレーボールは一人では勝てない。

それぞれの特長を生かす戦いが必要だ。

ブロックが強い荒木。

パワーアタッカーの石井。

竹下からセッターを受け継ぎ、バレーボールに人生を賭ける覚悟をした宮下。

大黒柱の木村と次世代エース古賀による両翼スパイク。

エースに決めてもらうために拾いまくり、周りに回すためだけにいるリベロ佐藤。

バックアタックの迫田。左のエース長岡。

特長を生かし、チームを最大化する。

これだ。

 

対して野球はピッチャー一人で勝てる。

 

江夏は相手をノーヒットに抑え続け、味方が点を獲ってくれないので

延長で自らホームランを打って決着させ

「野球は一人でできる。」

と誰の言をも黙らせた。

 

江川は高校時代何度もパーフェクトやノーヒットノーランを記録した。

雨の中、押し出しで敗れ、怪物の最後となった甲子園、銚子商戦。

雨の中、満塁の絶体絶命でチームメートは

「お前の好きなように投げろ。お前がいなきゃここまで来れていない。」

といったような会話がなされたことは有名。

 

こういった大エースを擁するチームはそれだけで勝てるのが野球。

ここまでのエースがいなくとも99%以上ピッチャーの出来により勝敗が決まるのが野球。

 

だが、そんな野球でも

大エースを持たないチームは

自分を知り、チームで各個人の能力を共有し、戦術をかため

やるべきこと、というよりやれることを確実にこなすことだ。

 

例えば先日のレスターの優勝。

低年俸の選手で地元密着の色が強いレスター。

レスターの地元ではレスターを応援しながら、

もう一チームお気に入りのチームを作り、応援するそうだ。

ハナから優勝を諦めているから。

 

現にここ20年ほどの優勝チームはマンチェスターUを筆頭とする

ビッグクラブ4つが優勝を分け合っているだけだった。

 

条件に劣るレスターが優勝したのも

ひとつにはこの特長を生かし、チームを最大化させたことにある。

 

岡崎の特長である泥臭さ。

ストライカーは、かっこよく点を獲るだけでなく

かっこ悪くとも決めるときに決めるということが求められる。

 

ある試合で岡崎がヘディングしながら空振りし、

そのボールがたまたま足元に来て得点したというプレーがあった。

自分でも笑ってしまうこのプレーで冷やかされるだろうと思っていた岡崎だが、

監督だけは笑わなかったそうだ。

いるべきところにいるのが岡崎の特長であり、

こうして点を獲ることが岡崎の特長であると認識していたからだ。

 

野球においては

スーパーエースがいないチームが勝つためにはサッカーやバレーのやり方だ。

 

それぞれのチームメートを把握。

そして目指す野球を全員で共有。

また来週の金曜日へ。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

傑作コラム

TOP