チームの目標を先々まで目指してのチーム強化にした場合、全ての選手に同じだけの環境を与える必要はない。実際に強豪校は選手を途中からマネージャーにしたり、裏方にしたり、情報収集係にしたりする。最後の大会を迎える頃には夏を戦うメンバーが決まれば、その他の選手が裏方に回ることはよくある。それはチーム力の最大化が目的であり、全員に練習環境を整えていたら時間がもったいなく、それよりは実力のある選手がその環境を利用し、その他の選手は情報の収集や戦う選手の手伝いをすることが目的達成に効率良い。
全体での底上げよりトップを走る選手の実力をさらに突出することの方が勝負で見ればいい。全体の底上げをはかると期限が決まっている、2年数か月というあまりにも短い期間、また1年生入部から夏までを考えれば数か月。それが終わるとまた新チーム育成と同じメンバーで戦うのは長くても1年だ。チームを引っ張る立場の選手の実力が伸びるほど及ばない選手はチームのためにということを考えるかもしれない。練習環境は先頭を行く選手たちに傾き、助けてくれる部員たちの為にも目先はライバルチームに向けられ、そこに勝つために闘志を燃やす。
スポーツ競技というルール制約の多い中で優劣を競うので実力で劣っているとは思わない、あるいは勝っている相手にも勝負では敗けを喫することがある。使うバットは決められている、ピッチャーはマウンドプレートに足をかけて投げなければいけない、打ったら走るのは一塁だけ、と他にも規制だらけの中でどんなスター軍団もどんなヘボチームも球場へ来て、ユニフォームを着て得失点の差のみで勝敗を決める。実力があるチームが、試合をやるまでもないからスピードガンの速さで決めましょうよ、というわけにはいかない。面倒くさいからと言ってベッドで寝ながら戦ってプチ殺すというわけにはいかない。
この社会における壮大な労力の無駄遣いを高校野球にあてはめてみた時、チーム力最大化にあたる。選手を途中からマネージャーにしたり、裏方にしたり、情報収集係にしたり。全員に練習環境を整えていたら時間がもったいなく、それよりは実力のある選手がその環境を利用し、その他の選手は情報の収集や戦う選手の手伝いをすることが目的達成に効率良い。選手として一線を退く部員たちも戦力として見られなくなったわけではなく、むしろ適所への配置でチームをより強くさせる戦力として力の発揮場所となる。
ピッチャーが野手へ転向する例は数多いが、野手からピッチャーへは皆無だ。その理由は、野球はピッチャーがもっとも重要なポジションだからだ。ピッチャーができるなら、まずそれをやれ、っていうことになる。そもそもピッチャーをやる奴はハイセンスだし、チームで一番うまい奴がやるものだ。プロ野球選手になるほどの選手ならそれまでの野球人生でピッチャーをやったことがない選手はまずいない。
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