王から最も三振を奪ったのが江夏で、江夏から最もホームランを打ったのが王だということだ。まあ、それならそうだろう、とたいしたロマンではなかった。だってホームラン王とドクターKなのだから、そういう結果になるだろう。最強打者から三振を奪うには奪三振王でなければならないし、奪三振王からホームランを打つには最強打者じゃなきゃままならない。当然の結果だ。
ダルビッシュはトレーニングと栄養摂取で大きな身体にすることを選んだ。今はひところより絞ったようだが、今の大谷より背丈も肉厚もあった頃があった。走り込み不要論を掲げたダルビッシュの選択はそもそも長い距離を走ることが嫌いということがあったと思われる。
窮地の状況で、スクイズを外し、三振という形でエラーも出ない幕切れを演出したから物語にするには脚色しやすい。だが、満塁となるランナーはすべて江夏自身が出した。人が出したランナーを火消ししたなら江夏伝説だ。だからピッチング内容は大したことないのだ。本当に良い内容なら三者三振の方がいい。ところが、三者三振で終わっていたらドラマにできない。
東尾を殴ったデービス、宮下を殴ったクロマティ、与田をマウントから殴ったブラッグス、接触プレーで高木豊を殴ったブリッグス、元ボクサーのためファイティングポーズをとってワンツーを繰り出したリベラ、ピッチャーを外野まで追いかけて行き、金田に蹴られたトレーバー、同じく大門を外野まで追いかけたアレン。王は、バッキーに連続して体の近くに投げられても、マウンドへ抗議に行っただけだった。ビーンボールを投げた方のバッキーが、荒川を殴っている。そして代わったピッチャーから王は頭部にぶつけられ、怒った次打者の長嶋がホームランで黙らせた。


