長嶋をひまわり、自らを月見草と表現し、犬猿の仲とまで言われ、長嶋に嫉妬していた野村が「日本にプロ野球がある限りONという存在は語り継がなきゃいけない」の言葉は重い。今から25年ほど前だったか、書店に長嶋特集のコーナーをたまたま見かけた。その表紙には「野球選手になりたかったんじゃない。長嶋茂雄になりたかった」とあの時代を生きてきた子供たちの心情を活字にしていた。すごく感動した一文だった。
戦後日本の成長と歩調を合わせるように登場したスターだったから、もう今後は生まれようもない。情報が氾濫した今では長嶋のようなスターは生まれない。違う形でイチローが登場し、今は大谷が登場した。どちらも今までになかった形を提供することでスターとなった。イチローは見たことのない打ち方でのヒット量産。大谷は投打の兼任とパワー野球でのNO.1。長嶋もそうであろうが、一つ違うことは、小さいものを大きくし、一番にしたということだ。人々の認知度の差がある。イチローの時はすでに誰にも知っている競技であったし、大谷はしかりだ。長嶋は自身で競技全体を引っ張り上げ、日本中に浸透させた。
2025-6-5 スーパースターONが並び立った日本野球の幸運
かつて、長嶋が監督解任の折には、日本テレビ徳光和夫アナウンサーは憤慨した。日本球界の宝に対しての仕打ちとして王への卵同様、恩義、仁義に外れた行動ということなのだろう。もう読売新聞は買わない!と発言したとされる。これは、長嶋茂雄はもう、巨人の長嶋ではなく、日本の宝、長嶋茂雄だ。それを巨人という一球団がクビにするなど奢り。これまでどれだけ長嶋茂雄に球団と球界は利益をもたらせてもらったと思っているのだ。こんな意味にとることができる。読売グループである日本テレビの一会社員がそれもテレビで発言したということは、自身もクビを覚悟してのものだし、その怒りの大きさがわかる発言だった。
それまで、人気を博していた六大学でそのスター・長嶋がプロ相手にどんなプレーを見せるのか。と注目される。ところが、デビュー戦で4打席4三振。実は次の試合の第一打席でも三振しているのでデビューから5三振だそうだ。これを目の当たりにした人は、やっぱりプロはすごいとなり、プロの株が上がることになる。エンタータイナー・長嶋がデビューで4三振は結果的にプロを注目させるに効果があったということが言えそうだ。三振することで、さらに注目させるという芸当は、さすが長嶋と思わされる。


