変化球についての考察を振り返る金曜連載8回目。
2023-8-18 変化球は握り(スプリット)、軌道(スライダー)、効果(チェンジアップ)にわかれる
2023-9-1 ツーシームとシュートの違いは そしてシンカー
2023-9-8 カットボールとスライダーの軌道 カーブは大きい曲線
それも複数人の口から耳にした。
球種が多くなり、見分けがつきにくくなったことで、ついに変化球に系をつけてしまったのだ。
世間でも○○のような、とか、〇〇っぽい、といった時、○○系で表現する。
それは傾向という一方向を意味したり、系統というまとまりを意味したり、
系列なら流れを意味する、といったところだろう。
草食系男子とか。
この系という表現が浸透してしまったので、はっきり断定できないようなときは、系をつけてぼやかす。
断定を恐れて、曖昧な言い方にしておいて間違いではない、とするわけだ。
変化球に関してはそれでいい。
”スライダー系の球”と言ったものが、スローでみたらフォークの握りをしているのに、
指のかかりでスライダーのように変化してしまえば、間違いとも言えないだろう。
だから、○○系の言い方でいい。
ところが変化球系は笑わされる。
変化球とは真っ直ぐ以外を全て変化球とするのが定義と言っていいだろう。
真っ直ぐとはそのピッチャーが投げられる最もスピードの出る球で、
リリースポイントからキャッチャーミットまでが一直線の軌道の球だ。
中には、他の球の方がスピードが出るというピッチャーもいるし、実際には一直線の球などないだろうが、
縫い目を指にかけ、いわゆるフォーシーム回転のものを言うと考えていい。
そうなると、真っ直ぐ以外は変化球なのだから、”ストレートです”か、”変化球です”
の言い方しかないはずだ。
変化球に”系”はなく、”変化球”だ。
変化球の中にもストレート系があるという意味か。
ツーシームのように、速く、少しの変化で打者を詰まらせ、ねじ伏せる印象のある球は
変化球であるものの”ストレート系”と表現したくなるのかもしれない。
”動かす”という表現の球は変化球ではなく、”ストレート系”としているからだろうか。
それと比べて、明らかにスピードが落ちる、あるいは変化が大きいものが変化球系なのだろうか。
ツーシームはストレート系とも言えるが、ストレートを待っている人に投げて、
よし、来た、と思わせて、少し動かすことで詰まらせる効果を持つ球だから、やっぱり変化球だ。
球種は最も大きく分けるとストレートと、それ以外の、ストレートではなく変化する球だと思っていた。
これは、何を投げたかは定かでないけど、ストレートではないでしょう、という意味で
変化球系と言いたくなる不安心理から出た言い方だろう。