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盗塁阻止率の秘密 バッテリーが勝つ盗塁 作戦を躊躇するプロの事情 試合展開を有利にする 確率の高い作戦 今週のダイジェスト 

2018-12-3 盗塁は基本的にはバッテリーが勝つ仕組み

たまに、たまたまピッチャーが動くタイミングと走り出すタイミングが同時の場合がある。または、ピッチャーが動く前から走り出し、ピッチャーがこれに気づかず、盗塁成功というシーンも見かける。これはピッチャーのミスということで片付ける。いわゆる完全に盗まれたという状態だ。しかし、そういうギャンブルスタートや早とちりでの盗塁成功以外、盗塁はピッチャーが動いてからでしかスタートを切ることができない。ピッチャーは脚を上げず、クイックで速く投げることが許されている。キャッチャーは中腰で構え、ステップを踏んで2塁ベース上へ投げることで、盗塁は成功できない。この間を1.8秒台から1.9秒前後でまとめれば、盗塁は刺すことができる。つまり、盗塁は基本的にはバッテリーが勝つ仕組みになっている。

 

2018-12-4 盗塁という作戦を躊躇するプロの事情

そこで、ベンチとしては盗塁という作戦はとりづらくなる。もし、失敗したら監督の無能ということになってしまう。片や、打たせておけば、監督の采配ミスというより、選手個人が失敗したという目で見てもらえる。選手も打てなかったことを人のせいにするという発想はない。自分の技術不足やミスショットとして振り返る。ファンもあいつはチャンスに弱いなーとか、あいつは今、調子悪いなー。といった目で選手個人を見つめる。ベンチとしては非難を免れやすいので、5割以上の成功確率をもつ盗塁より3割の成功確率しかない打つという作戦を優先する場面が出てくるのだ。

 

2018-12-5 走らなかった場合も盗塁阻止とすれば阻止率は跳ね上がる

盗塁阻止が5割に満たないということは、盗塁の成功が5割を超えるという見方ができる。だが、その成功確率も誰が走ってもこの確率になるわけではない。盗塁の能力がある選手が試みることが圧倒的に多く、これによってその数字となる。また、走った場合にだけ換算されるから、自重した場合は数字に反映されない。それらを考慮して、走らなかった場合も成功しなかったとすると成功の確率はぐっと落ちることになる。やっぱり盗塁は確率の高い作戦ではないということになる。

 

2018-12-6 盗塁は試合展開を有利に運ぶために敢行する

点差が離れている状況で走って1点獲っても仕方がない時は、連打を期待して走らない。試合終盤で1点獲っても勝てない場面では、わざわざ走らない。ここは勝負をかける時という場面、ピッチャーやキャッチャーのくせを見抜いた、変化球カウント、失敗しても次の回の打順がいい、などの条件の時に敢行することになる。盗塁というのは、その能力がある選手が、スコアリングポジションに進み、得点する状況をつくり、自チームの試合展開を有利に運ぶために敢行する。そのため、その機会は少ないということになる。だから、盗塁を試みるべき時に、行われるため盗塁阻止率は5割を切ることになる。これが、そういった条件を考えず闇雲に走っていたら盗塁阻止率は高くなる。

 

2018-12-7 盗塁は、状況、相手、情報といったところで実は確率の高い作戦ともなり得る

だが、この場面、1塁にランナーがいて、どうしても同点にしなければいけない。1塁ランナーを生還させるには、連打か長打が必要だ。そうなると、確率は極端に低くなる。それならば、盗塁という選択も十分、作戦としては採用すべきだ。そしてこの場面、1塁に出た鳥谷にファーストコーチの緒方は走れるぞと伝えた。国際試合ではファーストランナーコーチがストップウォッチを持っていて、ピッチャーの牽制や投球を計る。キャッチャーの送球能力も分析してある。国際試合は相手との対戦数が少ないので情報が足りないので、こうしてその場で選手の情報を得ようとあらゆる手段をとる。

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