犠打の日本記録を持っているように、バントのサインが出れば当然、ヒットは打てない。また盗塁やエンドランがあるかもしれない場面では、カウントを待って初球から打つことは許されない。盗塁のサインなら塁に出たランナーが、走りやすいようにカウントをつくり、ピッチャーが変化球を投げざるを得ないようにしたり、走った時にストレートが来て刺されると思えば、ファールにしたり、自分のバッティングよりも盗塁が優先されてしまう。エンドランのサインならボール球だろうが何が何でもバットに当てなければいけなく、打つ方向も基本、右に打つし、フライは絶対ダメ。転がさなければならない。自分の好きな球を好きなカウントで好きな方向へ打つということができない制限をもたされる役割になってしまうのだ。
球団が増えることで最も懸念されるのは全体のレベルが下がるということ。現行でも絶対に優勝はないという戦力のチームがある。4球団増えても最初10年くらいはそういうチームが増えるだけだろう。そして、現在の突出した一流選手の成績が大きく伸びることになるだろう。ホームラン王が60本になったり、4割打者が誕生したりするかもしれない。各チームの層が薄くなるから、そういう選手は歩かせることになり、フォアボールが増える。周りの選手の実力が高いチームは、主軸の打者のホームランと打率が伸びる。王がホームランを今ではあり得ないくらい量産したのはそういう事情だ。巨人の選手のレベルが高く、相手が弱く、王の実力が突出していたから。
2020-2-5 チーム数が増えればレベルは落ちる 球団創設 16チームへⅡ
最も懸念されるのは全体のレベルが下がるということ。プロという最高峰の技術の応酬が求められるレベルの野球が一旦落ち込むということ。レベルを下げないための施策はひとつあるのだが、果たしてそれは日本の野球になじむだろうか。それは、世界中の実力者を受け入れるということだ。外国からの規制を取っ払ったら、レベルは下がらないとも言えるが、王が言う、受け皿を増やすという一つの目的が達成されないことになる。本末転倒とも言える。
この事件が悲惨だったことは、3年生から下級生への暴力沙汰だったこと。3年生による下級生への暴力が明るみに出たのが甲子園出場をした後で、つまり、3年生は高校野球を終えている。暴力をした3年生は高校野球を満喫したのだ。この出来事への制裁は、残された下級生たちに向けられた。これからは俺達の時代と思っていたところで、この最悪の仕打ちなのだ。
2020-2-7 俺達の時代のはずが・・・高校野球 出場辞退 対外試合禁止Ⅱ
試合ができないのだから、練習するといっても、きっとその次代の後輩たちへのサポートという面もあったに違いない。ちょっと考えられないくらいの懸命さだ。心を打たれる。そして、いよいよ処分が解け、事件当時の1年生が主力となった秋の大会は初戦で敗れた。しかし、先輩たちのためにも甲子園出場への目標を保ち続けた。1年間、試合経験がなく、秋も初戦で敗れたら甲子園など遥か彼方と捉えることが現実的というか、まっとうな感覚と思える。それでもそのモチベーションを保てたのは、稀有な立場が選手たちの心境に影響したのだろうか。
https://twitter.com/yakyucolumn