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高校野球が抱える葛藤 佐々木の登板回避と高校野球の姿勢

連載最終回。エースの登板回避と高校野球の姿勢。

今、俎上に上っているのは

暑さの中での試合、ピッチャー投げすぎ、過密日程だ。

2019-7-31 佐々木の決勝登板回避 論点はそこじゃない

2019-8-1 高校野球の目的 誰のためにあるの

2019-8-2 登板回避は日程緩和ですぐに解決できるが、それだけで事は済まない

2019-8-5 高校野球はプロ養成機関じゃないから

2019-8-6 佐々木だから大事に投げさせなかったし、佐々木だから話題になった

2019-8-9 高校野球100年の計

2019-8-13 金属バット導入という歴史的決断をした高校野球 佐々木登板回避の分水嶺

2019-8-15 高校野球 建前と現実、無責任な世論と理想の方針

 

球数制限で強制させれば、野球に予算を避ける強豪校が俄然有利となる。

好試合を展開している最中、球数制限で降板し、

2番手以降が極端に力量劣る公立校などは、その後ボロボロになり、

シラケるという試合がいくつも発生するだろう。

 

日程を緩和すれば、1人のエースに頼ることができる反面、

選手層の厚さ、総合力こそチームスポーツである野球のNO.1を決めるに

相応しいという捉え方には反目する。

それならば、今のままの日程でも一向に問題ないことになる。

 

ただ、野球はピッチャーが100%勝敗の行方を握っているので、

競技の特性から大エース1人で勝っていくチームがあってもいいという見方もある。

一時代前の高校野球はまさにそういう野球だったので、

日程緩和して毎試合エースが投げたって同じこととも言える。

そして、たかが高校野球の部活動はどちらでもいいという見方もできる。

 

そもそも学校生活の部活動にすぎない高校野球は

野球技術の向上や野球レベルの向上を目的としていなく、

あくまで教育の一環として人間形成の手段だから、

プロ養成機関でなければ感動製造機でもない。

勝っても勉強、負けても勉強、その後の人生に活かされればいいということになる。

 

ケガした身にとって投げられなくなるということはとてもつらいことだ。

ケガはしてみないと気づかないし、投げ過ぎはどこからかの判別も難しい。

そしてピッチャーは繊細なので、一度壊してしまうと、元に戻すのは難しい。

たとえ、戻ったとしても、ケガをしなかった場合と比べて

成長の度合いは鈍くなっている。

 

そして、さらにケガはなってみないとわからない。壊れてみないとわからないのだ。

打撲や裂傷などは、外部からの圧力で痛みを感じるから、誰でも想像でき、

それを避ける行動をとれる。

ピッチャーのケガは蓄積によるもので、発症しても気づかないことが多い。

実はケガをしているのに、気づかず続ける。あるところで、なんかおかしいな?となる。

でも、これは今日の調子が悪いのかな?とか、今日は肩の出来具合が遅いのかな?などと思う。

そして、続けていたら、一旦痛みも感じなくなり、その出来事を忘れてしまう。

でも、実はすでに故障しており、そこに気づかず続けることで、どんどん悪化する。

この時点で遅いのに、本当に痛みを感じて医者に診てもらうときには手遅れとなりがちなのだ。

 

連投は必ずツケが来る。良いピッチャーは必ず故障する。

良いピッチャーでケガをしなかったピッチャーはいない。

これはピッチャーの宿命だ。必ず故障するのだ。

 

能力あるピッチャーほど、登板数も投球数も増えるから、ケガのリスクが高くなる。

そして、能力の高いピッチャーは抑えてくれるので、

能力の低いピッチャーより当然使われる。

抑えてくれるピッチャーを使わない選択はできない。こうしていつか壊れる。

 

故障しないまま選手生命を終えるピッチャーは、能力が足りないため使われなかったか、

そもそも自覚して、自分の能力を全開しないで選手生命を全うしなかっただけのことだ。

投げ続けられる才能の持ち主は必ず故障する。

そして、能力があるだけに自分にも周りに与えるショックは大きい。

 

高校野球の場合、あれだけ注目される甲子園で、あれだけの人達に応援され、

仲間とともに勝ち取った大舞台を我慢して、ケガはいやだと投げないなどという選択が

できるわけがない。

だから、ここは本人、チーム、監督でよく話し、それも戦前からチームの方針として

どういう戦い方をするか、よく話し合っておき、連戦になった場合、ピッチャーを

どうするか、一方向にしておきたい。

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