変化球についての連載も6回目になる。
2021-9-24 スライダーとカットボールの違い 変化球は握りと軌道と効果
2021-9-29 チェンジアップはまだ来ない バッティングには命のタイミングを外す
2021-9-30 どんなにすごい変化球もわかっていれば怖くない
気持ちがこもった素晴らしいストレートでしたね、と言われる。
気持ちがこもらず、同じストレートを投げられたらもっといい。
気持ちがこもっていないストレートの切れが良い、あるいは速く、伸びていたらこれの方がいいのだ。
気持ちがこもっていない棒球は打たれるだろうが、気持ちがこもった素晴らしいストレートより、
気持ちがこもっていない素晴らしいストレートは打てないだろう。
やる気がない投げ方で速い球が来たら打者は困惑する。
杉内は投球の際、脚をあげてボールを持った左手とグラブを持った右手を一度ポンと合わせる。
この動作はキャッチボールで肩をつくる際、多くの選手が無意識にやる行為のひとつであり、
内野手が送球の際、投げる前に一連の動作としてみかけるものだ。
つまり杉内はキャッチボールや送球のように見せたいという幻惑動作としてとりいれたのだ。
杉内は打者にどんな球が打ちにくいかを聞いたら、一番打ちにくいのは遅い球が来ると思ったら
速い球だったら、一番打ちにくいと聞かされた。
なるほどと、とにかく脱力してキャッチボールに近い投げ方を心掛け、そこから腕だけ振って
打者の手元で速く感じる球を投げようとしていた。
それでなるべくゆっくりしたフォームで、普段のキャッチボールと錯覚するような投げ方で
速い球を投げることで打者のタイミングを乱そうとしたのだ。
フォームによる緩急をつけることで球速以上に速さを感じさせるためだ。
腕を振って投げる理由は、腕を振らずに速い球は絶対に投げられないので、
腕を振って遅い球を投げられるようにして、同じ腕の振りで速い球と遅い球を投げ分け、
打者を幻惑して緩急をつけ打ち取るためということ。
チェンジアップは速い球を投げるぞ、と相手に思わせるほど効果がある。
それとは逆の速い球のチェンジアップ効果だ。
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